トップページ 体験記トップ - 体験記投稿 - トップページ

Click Here!

アンヘルスのクリスティーヌ−最終話
ネットショッピングに便利!イーバンク銀行

そんな、毎日が2ヶ月ほど過ぎたある日の事だった。
いつものようにクリスティーヌは電話をしてきた。しかし、その日の彼女の声は沈んでいた。

『なにか、起こったのか?』

尋ねる俺に彼女は言った。

「店から、来月からはGoGoダンサーとして働けと言われたの。
でも私はダンサーになるのはいやだから、家に帰りたいの」。

俺は、うかつだったが彼女の家の事を彼女に尋ねていなかった。
いや、彼女がその事に触れるのを嫌ったからなのだが。

『君の家はどこなんだ』。

初めてクリスティーヌは言った。

「ナガ」。

そうか、ビコールなのか、それで彼女の身体的な特徴が理解できた。
ナガは、マニラから南に、車で4から5時間だ。バスもあるがバスは8時間近く掛かってしまう。
マニラからフィリッピン航空の手段も有るが、一日一便でなおかつ折り返し運行だ。

クリスティーヌは言った。

「だから、貴方にもらった携帯売っていい。2000Pesoで売れるから、
その金で帰りたいから」。

俺はその時思わず言ってしまった。

『待て、俺が今週末にお前に会いに行く。』

そうして、俺は無理やりに休暇をとってフィリッピンに来たのだ。
空港からは、いつものジョージのタクシイでアンヘルス(アンゲレス)に向かった。
いつものように、ジョージに途中の7−11のコンビニに寄らせた。
ここで、飲料水と食料を前もって買っていくのだ。
アンへの到着は早くてP国時間午前2時半頃だからだ。
案の定、オーキッドホテルに着いたのは午前2時20分だった。

チェックアウト後、部屋に荷物を置き、プッシュボタン型のセーフティボックス
(デラックス以上の部屋に装備されている。オーキッドはスタンダード、デラックス、
スイートの3段階である)に、パスポート及び余分な金を入れた財布を仕舞い、
持ち歩きようの財布(5000Pesoほど入れてある)とタバコを持って、ネロスに向かった。

ネロスに付く間に2、3人の顔なじみの女と会い50Pesoずつふんだくられた。
50Peso分のキスをふき取りながらネロスの入り口をくぐった。
ネロスはもう終わりかけていた。女たちもまばらだった。

前もって電話を入れておいたので、ダイアノとクリスティーヌは俺を待っていた。
俺はダイアノに言った。

『おい、何でクリスティーヌが来月からダンサーに成るんだ』。

ダイアノは、説明を始めた。クリスティーヌが、ここに来る原因になったのは、
クリスティーヌの父親が借金をし、その形で彼女は働かされている事。
毎月の稼ぎからその借金を返済せねばならない事。しかし、クリスティーヌが
バーファインをとらないので月毎の返済に稼ぎが足りない。
ダンサーとして稼がねばならない事とダイアナは俺に告げた。俺は、クリスティーヌに言った。

『それでは、結局その借金を返済しなければ、お前は家に帰れないのじゃないのか?』。

クリスティーヌは俺に言った。

「だから、電話を売ったお金で逃げようと思った」

と。とにかく、3日分のバーファインの3000Pesoとママとダイアノのチップ200Pesoずつを渡し、
クリスティーヌを連れ出した。

ココモで、クリスティーヌと食事をする事にした。午前3時だが、まだ結構客がいた。
日本人は、俺だけだがクリップオンのサングラスをしているのであまり注意は引かなかった。
食事が来る間、俺はクリスティーヌに尋ねた。

『親父の作った借金は、いくらだ』。

彼女が、言うには20000Peso(日本円約48000円当時)、ナガ辺りにしたら大金だ。
そして、彼女が返済したのは利子分だけだった。正直俺は、当惑した。
フィリッピンでの約5万円の金は俺にとっても大金だ。
しばらく、黙り込んだ俺を見て、クリスティーヌは言った。

「心配ない、私がダンサーで稼ぐから・・」。

俺は、まだ迷っていた。気まずい雰囲気の中で、食事を終えホテルに入った。
クリスティーヌは、すぐシャワーに向かった。彼女がシャワーから出ても、俺はまだ考えていた。
そんな俺をクリスティーヌは、気遣い言った。

「いいのよ、貴方が来てくれただけで十分嬉しいのだから」。

俺は、その夜は何かが、心に引っかかって彼女を抱けなかった。

次の日、俺はクリスティーヌを部屋において、買い物に行くと言って、実はネロスに向かった。
そしてママを呼んだ。

『おい、ママ。クリスティーヌが借金のカタで働いているのは本当か?』

尋ねながら100Pesoを渡すと、饒舌にママは話した。
実は、もうすでに借金の残りは、約10000Peso弱になっている事。それに、借金自体も、
クリスティーヌ自身が作った事。そして総額も15000Pesoだった事もママは話した。
俺は、その場で10000Pesoを出し言った。

『これで、クリスティーヌの借金は無しだ。受け取りを書け』

俺は、ママと経営者のサインを取った受け取りを持ち、ホテルに帰った。

俺は、部屋に入ってしばらく無言で過ごした。タバコを4本ほど灰にしてから、
やっとクリスティーヌに言った。

『これで、お前は自由だ』。

彼女に受け取りを見せた。クリスティーヌの顔が、ゆがんだ。そして彼女はひざまずき、
俺に許しを願った。30分ほど泣いていたクリスティーヌは話し始めた。
彼女にこの計画を授けたのは、ダイアノだった。もし俺から20000Pesoを手に入れたら、
2000Pesoがダイアノの取り分だった。俺はクリスティーヌに言った。

『お前を許す、しかし俺はもうお前を抱けない』

と。そして、クリスティーヌは、部屋から去っていった。
俺は、そのまま黙って、彼女の去っていく足音を聞いていた。

その夜は、俺は飲めない酒を、吐くまで飲みつづけた。
しかし、吐いても、吐いても胸の中の苦しみは消えることはなかった。

次の日の午後に俺は、アンへからマニラに戻るための車を頼んだ。
もう今は、この町にも居ることですら苦痛だったからだ。
チェックアウトしジョージの車に乗り込もうとした時、女の声がした。クリスティーヌだった。
彼女は俺に駆け寄り、俺の胸で泣いた。しかし、その時に俺が彼女に言えたのは、ただ

『体に気をつけて暮らせよ』

の言葉だけだった。
                                   
END

エピローグ:その後も、クリスティーヌは、時々俺に電話してきた。
また、アンヘに俺が行くときには、彼女に俺は、チョコレートや衣類を土産に持って行ってやった。
俺の女が居ない時には、2時間ほど来て、最近の事などを話し込んでいく。
時には、彼女がライスボールやフライドチキンなども持って来てくれて一緒に食べながら話をしている。

しかし、もう彼女とは男と女の関係は無い。多分、お互いに愛は、まだ残っているとしても。


高野 克彦さんの投稿
アンヘルスのクリスティーヌ− 最終完
ネットショッピングに便利!イーバンク銀行


- ご質問・お問い合わせ -