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アンヘルスのクリスティーヌ−1話
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今一度・・フィリッピンへの愛を込めて

「Sori」

隣の座席の女がトイレに行くのに声をかけてきた。

『Ok・』。

いつのまにか、眠っていた。ノースウエスト航空のプロジェクターには、
もう空路図が映しされている。やっと、この狭苦しい空間から開放されるのだ。

そう、仕事から逃げるようにして、19時20分の名古屋発マニラ行きに乗り込んだのは、
4時間程前のことだった。休暇届を出した時の経営者の苦々しい顔も浮かんだ。
28年も勤めて来たが、いまだにあいつとは理解し合えないところが有る。
そう言えば4度も解雇されたのだと数えて、自然と笑みが浮かぶ。
帰国したらまたいつもの台詞を繰り返すのだろう。
それも仕方ないのだ、今回の旅はあまりにも急過ぎた。
あの女の電話がなければ今頃まだComにへばり付いていなければならなかったのだから。
あの女に会ったは、2ヶ月前だった。

2ヶ月前、アンヘルスでの3日の滞在も最後の日だった。
昨日までの女は、ひどかった。あの時でも、声ばかり上げるが、
早くTVでも見たい気持ちが伝わってくる。
おまけにあそこは緩るいといった女だった昨夜の女は今まででも最悪な女だった。
セックスの途中で電話はする。メールは打つ日本のコギャルのような女だった。・・
今日は、せめて良い女に当らなければ、腹が立ったまま帰りたくはなかった。
フィールドストリートを西から流して行った。

マルガリア・ブルーフォックス・シャンパージ・ボルケーノ(注1)と流したが、
ろくな女は居なかった。Gスポット(注1)もブルーナイルも今日はよさそうな女には、
出会わなかった。馴染みのママ達にドリンクを振舞っていただけでしかなかった。

『くそ、今回は外れっぱなしだ。』

と不機嫌な気分でネロスフォーラムのドアを蹴って入った。
ネロスの被りつきのカウンターに座ると目聡いウエートレスのダイアノが、走って来る。
こいつとも、腐れ縁だ。

「ああ!高野いつ来たの?」
『おとといだ。』

挨拶と共に100Pesoを握らせた。

「うぅぅ〜ん、愛してるから。」

と、ダイアノはキスをしてくる。

『判った、いいからサンミゲルとタオルだ。』。

婆の唾液なんか付けて居たくはない。
ダイアノはすぐに、ビールとタオルを持って自慢げに腰を振ってやって来た。
 (注1・この2店は、現在店名が替わっている当時の店名を記した。)

 『ダイアノ、俺好みで、性格の良い女紹介したら
もう100Pesoだ、控えも含めて探して来い。』

こういった事をやらせたらこの女以上の適任者はいない。
満面の笑顔でダイアノは探しに行った。
その間、ステージの女たちの股間を見ながら酒を飲んだ。

この町の女たちは陽気だ、あるいはそうしなければ辛いのかも知れない。
中には俺の鼻先にあそこを擦り付けてくる女も居る。
ビキニのパンティをずらし、生のあそこを見せてくる女も居る。
この女達も必死なのだ。
そんな事を考えていると、ダイアが一人の女を連れて来た。

「高野、この子ならいいでしょ?」

連れてきた女を見た。GoGoダンサーではなかった。
フレアーの付いたスカートのウエーレスだった。

『おい!ウエートレスじゃないか?』

ダイアノは器用にウインクをした。

「この子にバーファインとは別に500PesoあげればOKなんだけど。」

連れてきた女をじっと見た。

身長は165cmほど、長い足、くびれたウエスト、形のよさそうなバスト、長い首だった。
ダイアノは長い付き合いだけに俺の好みを知っている。
ダイアノはもうすでに、片手を俺の前に出した

「ハイ、ね、だから200Pesoチップね。」


高野 克彦さんの投稿
アンヘルスのクリスティーヌ−1話 完
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