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ディナ...君を忘れない−7話
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部屋は綺麗に片付いていた。
裸電球がやけに空しく感じた。

暫くは、2人並んでテレビを見ていた。
何だか気恥ずかしくて、いつものように会話も出来なかった。
ディナは隣りで相変らず袖口を掴んでいる。
何か話さなきゃ・・・彼女の方をチラッと見ると
今まで無いくらい穏やかな表情だった。
何も話さなくていいか・・・・。
ビールをチビチビ飲みながら、ただ黙って2人で壁にもたれていた。

ディナの手が、何かを払いのけるように小さく動く、 何だ?どうした?。
そこには小さな薄茶色のゴキブリがいた。
私に気付かれないようにと、追い払っていたようだった。

私が気付いた事が分かると、顔を真っ赤にして俯いた。
あまりの可愛さに思わず肩を抱き寄せた。
ビクッとして一瞬身体が硬直したが、徐々に力が抜けて行くのがわかった。

初めての抱擁、軽くおでこにキスした。

裸電球の光の中、髪を撫でながらディナをただ抱きしめていた。
空しく感じた光が、今はとても暖かく感じた。
私の胸に顔を当てていたディナが言った。

「シンゾウ ノ オトガ キコエル・・」

それから、いろんな事を話した。
初めて席に呼んだ時の事、友人達の事、アテ達の事、そして喧嘩の事。
「ワタシ マタ ココニ クル シタイ・・・」
向こうに良い仕事があるならば出来れば来ない方が良いのだけど・・
正直そう思った。この子は家族と一緒にいた方が良い、そして良い旦那さんと
結婚して、幸せになって欲しい。
でも、その事は彼女に言えなかった。
時間は静かにだが、矢の如く過ぎて行った。

帰る時、私の胸に顔を付けて「アリガトウ・・・」と小さな声で言った。
私は彼女の背中にゆっくりと優しく手をまわし、額にキスをして
「おやすみ」と言った。
私がが見えなくなるまで、ディナは小さく手を振って送ってくれた。

サヨナラの日が来た。

その日は友人達は都合がつかず、(多分気を利かせた?)
私は一人で行く事になっていた。
こんな日に限って、夕方からメンテナンスの呼び出し。
時間は刻々と過ぎて行く。
今なら携帯電話で連絡するなり、友人に無理矢理頼むなりできるのだが
その当時はそんなものは無かった。
7時、8時、時間は過ぎて行く。

1時過ぎには、空港へ向かって出発してしまう、、焦った。

焦れば焦る程作業は進まない。
9時、10時、やっと終わった。
お店まではここから通常1時間は掛かる。
車に飛び乗り、アクセルを踏み込んだ。


ハロさんの投稿
ディナ...君を忘れない−7話完


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