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あの頃は友達−1話
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私の隣に一人のフィリピーナが席についた。

店の中は薄暗く、顔がよく見えない。

とりあえずウィスキーの水割を作ってもらい、一緒に来た仲間たちと乾杯をした。
3年ぶりのフィリピンパブだった。
あの時、新しく入る店での出会いに、ドキドキしていた頃の自分が少し懐かしかった。

「ハジメテデスカ?ココ。」
隣に座ったフィリピーナが声をかけてきた。
「昔、よく来た。でも最近はこない。」と無愛想に答えた。何となく気まずい思いをしていたからだ。
「ドウシテデスカ?モンダイ アリマシタカ?」
「・・・・・」

あんなに敏感だった、「モンダイ」という言葉さえ、今思うと本当に懐かしい。
この言葉には、ずいぶんと悩まされたものだった。

しばらくして仲間たちは、それぞれ彼女たちと会話をはじめていた。
何となく気乗りしない私に、彼女は話しかけてきた。

「ナマエ キイテ イイデスカ?」
妙にキレイなイントネーションの日本語だった。
「日本語上手だね。ベテランなの?」
とても大人っぽく見える彼女にそういうと、何故か微かに見える彼女の顔は、クスクスと笑っている。
すると、ブリーチした長い髪を、ササッと後ろに束ねた。 テーブルの上に置いていた私のメガネを自分のオデコの上にのせ、頭を少し傾けながら小さな声でこういった。
「ゲ ン キ デ ス カ ?」
その一瞬。かわいいなぁと思いつつも、妙に馴れ馴れしいことに気づいた。
そして、その行動の意味がわからなかった。
「ワスレタカ?ツメタイナ イカウ...」
「ダイアン ハ ゲンキカ?」
彼女は、私が3年前この店でインラブした娘の名前を、ボソッといった。
左手に持っていたケイタイには、見覚えのあるキティのキーホルダーが付いている。
少し慌てた私は、彼女のオデコの上にあった自分のメガネをおろし、グラス越しに彼女を見た。
「あれ?SARA?サラなの?」

3年前、私にはフィリピーナの彼女がいた。

彼女と暮らした毎日は幸せに満ちていた。何の不自由もなかった。 サラはその頃、新規で入店したタレントで、妙に私と気があった娘だった。 彼女はよく私のヘルプにつき、私とダイアンとの恋愛の相談やグチを聞いてもらったり、時にはダイアンに内緒で遊んだりする、いわゆる遊び友達だった。 結局ダイアンと私は、些細なケンカで終わりを向えていた。サラとは、たまに国際電話で話をする程度で、ここ1年は音信不通だった。

フィリピンで二流のタレントをやっている彼女。やはりフィリピンでの仕事もろくになく、 来日する機会があるまで、家族を養うためマニラのカラオケで働くこともしばしあったようだ。 更にシングルマザーにもなったサラは、28歳になっていた。 少し疲れた感じの表情でゆっくり話をするようになったサラは、まるで別人のようで、私にはすぐにわからなかった。

飛鳥さんの投稿
あの頃は友達−1話完

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